あの人のこと/番田 
 
母がいない生活に
ほんの少し微かな疲れが渦巻いている
週末に少しだけわがままを
聞いてくれる人がいてくれたらと

国道をぼんやりと立ったまま
飛んでいく紙飛行機にじっと立つ日
体は旋回して川づたいに走る
青い色を溶けていくみたいに

アスファルトへと転がる車を眺めた
石はそこでひとつとなって飛ぶ
黒色が緑色と絡まり
こぼれる水滴の匂いがした

街には秋が訪れて
黄緑色した鼻先をかすめる思いをいつまでも
君が体操服を着ている教室の
僕へと思う鼻頭をかすめるだろう

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