会敵点へ飛べ/吉岡ペペロ
 
社会人になりたてのころ

なぜかノートにはしりがきした言葉

会敵点に飛べ

なにが敵であったのか

具体的なことは思い出せない

具体的なことなんてなかったからこそ

そこへ飛べと

じぶんに命じていたのかも知れない

あれから十六七年、なんど敵と会えただろうか

いちども会えていないような気もする

四十をこえても

まだこの胸はひりひりと餓えている

会敵点へ飛べ


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