はがれた、こえ/祐伸
 
生を終えたら 人間を超えるものになって、お前等を敷いてやろうと想う
それまで待っていてくれ」


「…どういうことだよ」


「にゃぁ」


もう、彼の声は聞こえなくなった。
僕は彼を家の近くに埋め、祈った。
想像戦争に負った傷は、彼が代償として引き受けていた。
まるで、盾のように。





いずれ、空から誰かが見てるような気がしたら。
そいつは全ての声を全うし、全てを知る
そんな祈りを静寂として
受け止める
一匹の元、猫


いつまでも見ていたいよ
この思いも未定貸与
この思いは既成体の
半熟した羽


いつも、誰かが誰かをみているわけで、
僕は猫の様になりたかったけど、
人間だった、
はがれていく運命があるなら、それが声になるまで、
待っていてほしかった。
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