ところの引き出しに仕舞われてしまったあなたに/……とある蛙
 
大きな引き出しは
アングリ口を開け
ようこそ、よくできたお客様です。
などと歯の浮いた世辞を言って
そのくせ、舌なめずりの音が
家中に響きわたっている。

それでも人の良いインテリ面した
勘違いたちは世辞を
まともに受けて鼻が高くなり
その鼻が珍味だと
引き出しはまた舌なめずり

一度挟まったら
さぁ大変
抜けるまもなく引き出しの中の
大きな舌が
べろんべろべろ舐め始め

いつも持っている命の風船は
引き出しの外の腕の中

風船はきちんとつかまれていないので
浮かんだまま、風に流され どこぞに消えた。
シャボン玉と同じく壊れて消えるのが風船だ。
しかし、シャボン玉のように可憐ではなく
爆裂破裂、物笑いの種、滑稽でさえある。

困ったものだ。
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