日蝕/salco
 
、彼は母を呼んだが
声は痰のように喉に絡まり出て来ない
西瓜は急に不味くなり腐りかけた水のよう
闇と寒気が世界を支配した

以来、彼の周囲は孤立無援の夜であり、
太陽は永遠に反転の磁場から出て来ない
何故なら彼の頭がすっぽりと
太陽を覆っていたからだ
以来、彼は冬服の中で凍え続け、
盲のように石につまづき、
頼るべき声も光も無く
泥水に転倒している
太陽は2度と世界を照らしに出て来ない
何故なら彼の頭がすっぽりと
太陽を覆ってしまったからだ

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