アレクサンドラの撤退/加工技術について/真島正人
季節は冬の終わりで
新しいセーターの毛は荒かった
友人は一人結婚をして
気ぜわしく
雰囲気を変化させていた
僕は転機を感じて
この牙をよく洗い、
水でゆすいで
加工して削った
僕の口の中の物足りない部分にはめ込むと
それはぴったりとはまり込んで、
無意識に『猥談』を話すようになった
僕は僕の中に僕ではない資質を
巧く手に入れたのだった
僕はねじれ
僕の表面と僕の内部は
薄いコーティングのようなもので区切られ
分離し
二重になり
僕の内部は極端に真剣に
真面目になっていった
やがて僕は僕のはめ込んだ牙が
外の鋳型に代わったことを理解すると
それを巧く破り
咀嚼し終えたチューイングガムのように
口から吐いて捨てた
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