Bibliotheke/10010
 
◆仄暗い図書館で凡ての文字が魔法のように、炎となった。本質的に材木(materia)を意味する材質がではなく、その本質が燃え上がっているのだ。だが、この幻視は、幻視が見せる炎に照らされてしか見ることはできない。故に真の幻視であることの無限に退行する証明として、一巻また数巻の書物では足りずなおここに図書館を打ち建てねばならなかった。


◆炎は風であり、閉ざされたいくつもの書物の頁を捲り上げていく。 コンピエーニュのロスケリヌスは「《普遍》は声の風flatus vocisにすぎない」、《普遍》は名としてのみ存在すると言ったが、彼が記した書物は一通の書簡を除いて残っていない。美しいヒュパティアも
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