夜明け/服部 剛
 
虚ろな瞳をした、縫い包みの少女。力無
く、窓辺に凭れて。部屋のドアを開いて
入って来た少年は両手にかかえ、胸の蓋
を開いた暗闇の燭台に、マッチの灯をと
もしてそっと、窓辺に戻す。

窓外に広がる、夜明けの海。  
水平線に昇る、あたらしい太陽。 
縫い包みの少女の瞳から
丸い頬を伝う、ひかりの滴。 




戻る   Point(2)