手紙/新守山ダダマ
 
ずっとお前が好きだった
お前は気づいてくれなかった
俺はお前の携帯電話
ずっとお前のそばにいたんだ
お前の淋しさを埋めてきた
お前は人一倍淋しがりやだから
俺は人一倍いや携帯一倍よく働いた
だけどもう疲れた
お前も気づいてるだろうが
電池の消耗が早くなった
いくら充電してもらっても
俺の衰えは止まらない

お前と出会って1年
もっとお前のそばにいたかった
お前のために働きたかったけど
お前ももう飽きているようだ
だから他の携帯に換えようとしている
俺はお前のポケットの中で震えている
誰からの電話あるいはメールでなくても
俺は震える
そう、お前が気のせいだと
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