The Man From 70's/salco
 
、と子に語りかけ、とても寒い
暗くて
ぶるっと、真夜中に尿意で目が覚めた。煌々と明るい。
立ち上がった時、日の丸そっくりな血溜りを尻に敷いて死んでいるの
を見た。腹は大きなまま、いびつな半球になっていた。

それで男は今日も道路を引きずって歩いている。あの日以来、
歩くと路面が右足にくっついて離れない。
だからどんな交通機関にも乗れないし新しい女にも乗れないのだ。
それなら隘路を持ち込むだけで事済む家にじっとしていればいいのだが、
じき家賃滞納で追い出された。
爾来、夜は道端で雨風をしのぎながら眠っている。
別に呪いでもなかろうけどな
一度は東京湾に入っちゃおうかと思った
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