505号室/真島正人
やめてください、あなたの腎臓がそこまで弱ってしまい倒れてしまったのは、あなたが本当に仕事に熱心で、そればかりに気をかけてお体を大切にしなかったからであって、そのことはあなた自身が重々承知なさっておられるはずです。今日この日、私はお見舞いに来ました、ただそれだけです」
まくしたてるように言い放ち一呼吸。ふと首をひねるとカーテンでくびられた向こうの部屋に寝た老人がいぶかしげにこちらを見ている。
「失礼を」
とつぶやき、立ち上がり
「もう帰ります。お菓子を持ってきましたが、内臓に負担がかかるかもしれません、食べないほうがいいでしょう」
そのまま僕は帰った。
道すがら、病人から聞いた情報は、人に報告をする。
僕は本当は、仕事の話をしにきたのだが、それを見透かされると
こんな風にあわてるだなんて
まるで子供だ。
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