505号室/真島正人
{引用=
「で、例のA印刷さんの件なのですが」
と、病人が自分から語りだしたので
僕は面食らってしまった
まだ日の高い午後のはじめの市立病院
5階の、清潔な部屋で
病人は自分から口を開いたので
僕は本当に
戸惑ってしまった
「あぁ、それなのですが」
と何とか答え
「いや、でも今日は、そんな話をしにきたわけではないのです」
とつぶやくのは僕。
でも病人は、
話を止めずに
「それと3月に入ってから幹事内での会議がありまして」
「あの、3月のはじめにデパートに出向いてやる仕事にはあなたにも関わっていただきたく、ラフな服装でもその日は結構ですので」
と、
僕は
「やめ
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