乙女金襴/
華
彼女は意地が悪かった
金襴羽織りに唐笠さして
しだれ髪ゆらゆら猫の尾っぽ
だけど嘘はつかなかったよ
紅殻格子の道行に
大和屋さんで金米糖
桜桃の口に星ふくむ
風吹き上げる満月宵は
障子に隠れて指折りに
待てど暮らせど届かぬ便り
なんだか可愛いかったけな
おいでなさいと手を招く
燐寸弾いて紫煙流る
渋紙色に囁く声
わたしと接吻いたしましょう
彼女は意地が悪かった
こんなに夜が深くては
一輪挿しの花も目をつむる
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