冬のさくら/月乃助
季節の変わり目は
不思議と あいまいで、
みあきた建物たちの
街色は、いつもの
寡黙のまま
昨日とのくべつのない
今日を数えながらも、
オリオンをあとにしたら
きみを探しにいくよ
靴を履いたら、鍵を手にして
飛び出した願いは
もうはてない
銀河の街をめぐる 想いの渇望
寄り添えば
きみの堅い髪が、ゆらめいたりするものだから
花にふれるように
あたしは、手をのばしたくなる
香りがほんの少しばかりする
冬を ここでなら忘れられそう
おしゃべりな寒桜が、淡い色にそまり満開で
まるで春のあでやかさです
花びらが、海風にさそわれて
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