二月の世界/番田 
 
雷鳴だけが轟音となる
神々は声ひとつとして告げはしないだろう
いてつく稲光
彼方では群青色の森林が中央を切り裂く

谷間からは溶岩をわき上がらせてはがれ落ちる山河
幾たびもの曲がり角を墜落してきたトラックたち
鋼鉄の列車の車輪が横切る
ドルは人間の手や頭を伝っていく

互いの方向へと歩みはじめる
花たちの模様にはかなわない
店並みに立ち止まる東京で 着こんだ体じゅうのそぶりを観察しても
四月の積雪が溶け切る以前の 僕らは家路を帰ろう

客車も貨物も競争するだろう
その容姿自体が精神の発することの励ましなのだから

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