『世界の終わりに詩人は笑う』/東雲 李葉
もしもこの世が終わるなら
何を残して消えてゆこう
大好きな歌や詩を
唄いながら死ぬのも悪くない
だって僕にはそれくらいしかできないから
強大な力に立ち向かうこととか
互いに愛を確かめ合うこととか
誰かとじゃなきゃできないことは何もできないから
いつもどおり独りぼっちでいろんなうたを唄おう
誰も聴いていなくても僕のためだけにうたを唄おう
幸せなこと今までたくさんあったね
悲しいことはそれ以上にあった気がするけど
最期には帳尻合わせて「善かったね」と笑いたい
大切なあの人は他の誰かと笑っているけど
その人たちの分までわずかな奇跡を祈ります
今日だって世界が終わらず
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