新年/salco
 
冷蔵庫のブロッコリーには100年間が詰まっていて、
それが1日で10年ずつ老いて行く
可哀相なカリフラワーはしかし上海まで辿り着けなかった
レタスは春を夢見るあまり自分を花だと思い込んでいるけれど
冷蔵庫はやはりドの音で低く唸り続けているのだ
ドというのは決して休符しない プラグを抜いたとしても。
私は桜材で出来た男のぶよぶよな腹をごろごろ転がりながら
安シャンパン飲んでいたけれど、地球の裏側に落っこちてしまったよ
だからメヒコ幼稚園の砂場で一人寂しく砂山を作っている
だって、今夜は何年も話していない従姉から電話があったので
何か、懐かしさと空虚の入り混じった感情で脳が淀んでし
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