拾得/岡部淳太郎
生まれる
ずっとまえから
さまざまの小さな
かけらたちがあつまって
この心身をかたち
つくってきていた
それらの小さないのちたちの集積で
ここにいるほどよい大きさのいのちがある
その後も時を生きて
歩きながら
道端に落ちている
枯葉のような小さなものを
拾っては内側にためこみ
過ごしてきたのだ
母親が幼い子に手編みの
セーターを編むように
何か大きなものによって
あつめられては縒り合わされて
みんなここにいるのだった
やがて冬を告げる風が吹き
何かがばらばらになって落ちると
それらをまた拾いあつめる
そのようにして私が
生まれる
(二〇〇九年十一月)
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