Like a rolling story/木屋 亞万
生命が輝くのは生と死の瞬間だけだ
そしてそのどちらの状態にある生命も弱く、醜い
それでいて
ありとあらゆるものを突き動かす力に満ちている
周囲のものを、
自分自身でさえも、
その弱くて醜い生命をどうにかしてあげたくなる
それに比べて
物は平均的である
冷静でいて単調でいて強固である
生物の生と死の瞬間がともに美しいのは
それが物から生物へ、生物から物への移行時期だからだ
物の状態になった元・生物(あるいは前・生物)の移ろいの加速度は
生物であった時の比ではない
それは実に無駄がなく、何の疎通もなく完璧に行われる
生物というのは実に不器用で悲しく寂しいものである
そしてそれらの負の感情が
当然のように喜びと楽しみを引き起こす
どちらもほんの束の間のことであり、
限りなく永遠に近い一瞬である
卑猥な植物も
腐敗した肉も
すべて元・生物で
現・生物によって食べられて
現・生物が殖えるための力となる
それはとても醜く苦しいことの連続であるが
いずれは美しいときを迎える
もしもそれが物語のようであったならば、ね
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