地下の曖昧な光/岡崎師
風の飾ってある丘の土を掘り、階段を備えつけ、鉄の扉で施錠した、地下室に持ち込んだ
ものを、数えながら、ふたつだけ息をしているものがある。虹の、声帯を持つ双子を君が
連れてきて、僕はすっかり気に入ってしまったんだ。窓の無い壁に、青色のマジックで、
窓枠と幾つかの星と、月を描いている双子の妹の名前は……。姉はどこからか持ってきた
土でできた人形でひとり遊びをしている。真っ赤な靴を茶色く汚して、何も、言わない。
壁の向こうで、雪の降る音が聞こえているから僕と君は、彼女たちを誘って雪の丘に出る。
風の十字架に雪が積もっても、鋭利な音を発てて、それらは弾け飛んだ。僕と君は雪を掴
むと、双子目掛けて投げたんだ。姉が雪に石を混ぜ、僕らに投げ返した。水晶の夜だった。
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