マイセルフを探して/中原 那由多
 
ただ、呼吸だけをしていれば
それが唯一の救いになっていたのだろうか

砂漠に捨てられた緋色を
ドライフラワーと呼ぶことはつまらないおふざけ
ひび割れた部分を優しく撫でてみて
前頭葉で水の滴る音がしたのは
暗黙の了解に囚われているからなのか


白線の上を慎重に歩いていた頃は
その先がどこに続いているのかなんて知る必要はなかった
白線が消えそうになっている今となっては
終着点までちゃんと理解できているはずだけど
今度は進む勇気の意味を知らなくてはならなくなっていた


迷走していることをいつしか忘れている

拾った雑誌の広告のほとんどに誤植があり
捨てられるべ
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