アンドロイド/月乃助
悲しくても
涙は流さない
ショートしてしまうのです
すべてのプログラムがイン・プットされているなら
それでよいはず
機能を十分に果たせるように
あたしがいる、冷たい手をしたその指先に
ファイバーグラスの髪
人の温かさにふれるよう
銀河の小さな星からの 長い手紙をよみながら
小さくため息をついていた
少しばかりの自由を得て
今はゆっくりと休むこともできる
回路は正確にいつものパルスを送り続け
擬似眼球のレンズが見るのは、安らぎの人の笑い
腰の回転音が少しばかり気になっても
ヒールの高さが気になることはないのです
重い足取りをくりかえしながら
どこへ
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