漂流者/やや
 
れていただなんて、
ずっと知らない振り
していたん
だね。

騙すように、諭すように、願うように
ずっと唱えていた呪文は
今やっとただの文字になった
すがるように窓を見る
月が首を傾げて消えていった

毎日はいつだって
月の疑問がなくなる前に
太陽が大きく頷いて過ぎ
そして途方に暮れてしまう

懐かしむ事は好きじゃない
思い出す、呼び起こされる、浮かび上がる
今は決して無いものたちへの唄
浮かばれる事なくてもいい
いつまでも一緒でいたい
けれどもいつかは
影さえこの身体から離れてしまう

根本的な創痍
やはり私は諭される

君が寝返りを打つ
闇が君を避けて動く
夜の湖に浮かぶ君という島で
私は一人の漂流者だった
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