かんばんむすめ/
渡 ひろこ
いつからそう呼ばれるのか
みんなわたしを撫でて可愛がってくれる
「でも目をるん、とつぶらにして見つめるのはママだけね」
と詩人の女のひとは笑った
そう わたしはママが大好き
いつもやさしく語りかけておやつもくれるから
だからママが迎えにくるまで
ここでいい子にしてじっと待っている
清州橋がライトアップして
隅田川に灯り
風が魚の寝息を運んでくる
ママが帰ってきた
「ポチコ、おいで」
ワン!
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