コマと竜/……とある蛙
思考の中の四次元空間
風と雨の中に
滲んだ映像の竜が
思考の中心から紡ぎ出される。
雲間に光る胴体は
蛇のようにくねり青色で
雨に塗れた鱗は
鈍い光を一枚一枚が放ち
珠玉を掴む前足の指には
嘘を切り裂く鋭い爪
鬣は風にはためいている。
かっと見開かれた眼は
異様な光をたたえ
口元からは鋭い牙
髭はうごめいている。
この竜はいつまでも
思考の四次元空間に盤踞して
思考の中の地球コマに
かっと見開き睨みを効かせ
(自分の思考の他の部分は竜に触れられない)
思考の軸のふらつきを
無言の竜は睨みつけ
(ふらつく訳はないはずなのだが)
まだ動かない
動けば竜の肌に触れ
逆鱗に触れるおそれがあって
それでも思考は回り出す。
そしてコマは回り出す。
ジャイロごま
軸をだんだん安定し
軸はぶれずに起立する。
思考の中の地球コマ
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