公道にて/邦秋
赤信号を前に、どうして僕は渡らなかったのだろう
考動と行動が、一致しなかった僕がいる
−世の中に『正しいこと』などない。
車さえ来なければ『赤』でも渡っていいはずで
『身の危険がない』という問いを
崩せる論理はどうにもなくて
でも、向かい側の歩道に、今、
小学生が5人、止まっていて
『あるべきタイミング』を今か今かと待っていた
いつもなら何も思わず通過する
赤信号を前に、どうして僕は渡らなかったのだろう
青のランプが光るまで、待ち続けていた僕がいる
この時、論理を越えた『何か』が働いて
考動と行動が、一致しなかった僕がいる
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