春の予感/吉岡ペペロ
 
頬を耳をそようつのは

春の匂いのする

つめたく湿っけた風だった

ここの空から

あそこの空まで

なんの喜怒哀楽もないようだった


遠い灰色のビル

蛍光灯があかるかった

野辺にはいたいけな

ねむれる草花が摘まれていた

つまらないミサイルが

ピンクの火しぶきをあげている


頬を耳をそようつのは

春の匂いのする

つめたく湿っけた風だった

ここの空から

あそこの空まで

なんの喜怒哀楽もないようだった



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