家族アフェア/フミタケ
にでて
父親が癌から一応の生還をし
母親が鬱から立ち直り
祖父は毎日神棚に手をあわせ
花を愛し、いつも家中を花々で埋め尽くした祖母が世を去って
僕は12年ぶりにこの家へ帰郷した
いつかみんなここからいなくなり
僕一人だけになる日が来るのだろうか
広い家を塵と雑草だらけの荒れ地にしてさ
もう一度ここから遠くへ
ずっと遠くへ
一人でどこか遠くへ荒れ地を行ってみようか
かつては花々に囲まれて
ご近所さんや野良猫やなじみの浮浪者が頻繁に賑やかに音連れたこの庭に
やがてまた深い深い夜が降りて来て
窓をシトシト雨が打つのをずっと見ているのも悪くはないだろね
でも
その雨の中を歩いて行かなくちゃ
冷たい雨にも自分を晒して歩き出さなくちゃ
誰かを愛さなくちゃ
いきているうちに出来る事はひとつだけ
深い夜を越えて行くように
家族へできるただひとつの事を
家族にはいつも
明日なんてありゃしないんだから
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