家出のよる/吉岡ペペロ
 
中二のとき家出をした

ぼくはすこし複雑な環境にいた

遠い親戚が経営している病院の

ぼくは病室をあてがわれて住んでいた

妹にはその隣があてがわれていた

病院の四階が院長夫婦の住まいだった

ご飯は院長夫婦と食べた

夫婦には子供がいなかった

ぼくと妹は食後リビングでテレビを見ながら

病室にもどるまでを夫婦とお喋りして過ごした


病室にはベッドと備えつけのテーブルがあった

学校から帰宅すると

布製の白地の学生カバンをベッドに投げおき

テーブルのまえに座ってぼうっとする

ぼくの病室には非常階段の扉があって

そこから友
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