家出のよる/吉岡ペペロ
中二のとき家出をした
ぼくはすこし複雑な環境にいた
遠い親戚が経営している病院の
ぼくは病室をあてがわれて住んでいた
妹にはその隣があてがわれていた
病院の四階が院長夫婦の住まいだった
ご飯は院長夫婦と食べた
夫婦には子供がいなかった
ぼくと妹は食後リビングでテレビを見ながら
病室にもどるまでを夫婦とお喋りして過ごした
病室にはベッドと備えつけのテーブルがあった
学校から帰宅すると
布製の白地の学生カバンをベッドに投げおき
テーブルのまえに座ってぼうっとする
ぼくの病室には非常階段の扉があって
そこから友
[次のページ]
戻る 編 削 Point(10)