帰れない/
 

サンシンよりもロックが似合っていた

僕の故郷は何処へいったのだろう?

皆帰っていったけど
僕はどこに帰る?

僕の生まれ島は

おきなわ、
オキナワ、
okinawa、

沖縄



聞いてくれるかい、
聴いてくれるかい、

覚えていてくれるかい


僕は、ずっと

沖縄に帰りたかったんだよ



泡盛が優しくその日の彼を包んで
僕は泣きながら彼の寝息を確認する
明日はまた強い人に戻ってくれるだろうかと思いながら

沖縄、という

その言葉の複雑さに打ちひしがれるような思いでいる

知っていただろうか
この島の老人は誰もが皆、
優しい目の奥に誰にも語らぬ暗さを持っている
語らずに生きられるよう、明るく笑う強さを必死で身につけたのだと言う

それでも生きる今日に
怖さにも似た輝きがある

あの日青年だった彼は
八十になっても青年のままで

あの時したくても出来なかった事
―心の底から泣く、という事を

戦を知らぬ僕の前でしてみせたのだった




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