泡盛が優しくその日の彼を包んで
僕は泣きながら彼の寝息を確認する
明日はまた強い人に戻ってくれるだろうかと思いながら
沖縄、という
その言葉の複雑さに打ちひしがれるような思いでいる
知っていただろうか
この島の老人は誰もが皆、
優しい目の奥に誰にも語らぬ暗さを持っている
語らずに生きられるよう、明るく笑う強さを必死で身につけたのだと言う
それでも生きる今日に
怖さにも似た輝きがある
あの日青年だった彼は
八十になっても青年のままで
あの時したくても出来なかった事
―心の底から泣く、という事を
戦を知らぬ僕の前でしてみせたのだった