氷の犬/月乃助
翔けだした
雷鳥さえも追いつきはしない
億年の過ぎ去った
海峡の、氷河の流れに
止められない想いを抱きしめては、
巨きな犬の背にまたがり
髪をふりみだし
人のすがたなどでなく
太古の神のようなおそろしさで、白く
陽の光りにひとつに なる
氷にとざされた世界
いつかたどり着く先に
心をよせる
会いたくなる衝動を解き放ちながら
疾駆する
病んだような
優しさを拭い落としては
原始のものの強さで
風になる
Run
粉雪をとばし
駆けなさい、それが許される今
犬の背にしがみつき
どこまでも走っていく
明日をてらす思いに胸をふくらませ
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