残虐詩集 独善編/真島正人
な
思い出ができる
3
飲むことに疲れ
音楽にも疲れ
誰か
亡霊になってでてこないかと
不謹慎に考え
それからあとで
手紙を書いた
長い長い手紙
手紙を時間が
連れ去って
粉々の分子に解いてくれることを
学びながら
僕は
怯えて
震える
泣き出す
部屋の入り口には
旅行鞄を手に
入りあぐねている
亡霊
が
いる
こんなにも
君と話が
したかった
4
雨と
風と
火に
かこまれたあとで
夜の校庭のプールで
泳いだ
水泳パンツが
水に濡れて
性器に張り付いていた
でも僕は
不快を感じなかった
そんな日も
もう
遠い
5
岬までやってきて
諦めて
踏みつけ道だけを残して
いまだ解けない謎の
扱いに
悩みながら
作り上げられた
月の色に
戸惑って
しゃがみこんで
ゆったりと眠ると
すべてが流れてゆく
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