残虐詩集 独善編/真島正人
 

思い出ができる



飲むことに疲れ
音楽にも疲れ

誰か
亡霊になってでてこないかと
不謹慎に考え

それからあとで
手紙を書いた

長い長い手紙

手紙を時間が
連れ去って
粉々の分子に解いてくれることを
学びながら

僕は
怯えて
震える

泣き出す

部屋の入り口には
旅行鞄を手に
入りあぐねている

亡霊

いる

こんなにも
君と話が
したかった



雨と
風と
火に

かこまれたあとで

夜の校庭のプールで
泳いだ

水泳パンツが
水に濡れて

性器に張り付いていた

でも僕は
不快を感じなかった

そんな日も
もう
遠い



岬までやってきて
諦めて
踏みつけ道だけを残して

いまだ解けない謎の
扱いに
悩みながら

作り上げられた
月の色に
戸惑って

しゃがみこんで
ゆったりと眠ると

すべてが流れてゆく

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