スフィア フェティッシュ/ハイドパーク
 
ノ 円周部

2番3番の指で優しく

フォルテ 最深部

こすりつけながら激しく


鼻を鳴らす子犬の声で

微振動をはじめたのは

私の指紋のせいだろうか

鼻腔に浸潤する沈丁花の香

漂いはじめたのは彼女が

花瓶だったせいだろうか


台座はLED光に照らされて

二人の行為を月のように青く

映しだしていた


なんというなめらかさ

奥の奥まで変わることない

高まる心を抑えきれずに

蛇のように球体にキスをした


ああ どうしよう


すっぽりと抜け落ちたそれは

無摩擦の平面をツゥーと滑って行き

最果てのところで落下して

割れた


その時天井から吊らされていた

無数の金属の薄い板が

互いに重なり合って

ひとつらなりの音の波になった
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