知らないし君の尋常/手乗川文鳥
 

「わたしは喪失なんてしない、私は解放するの!」
するのー!
するのー!
のー、
のー、


米粒みたいなお母さんたちを
人差し指で潰して
ティッシュで
処理して
いつも
終る





わたしが生き延びるために捨ててきた古いわたしの死体が散乱していて
部屋から
腐臭が
します
今赤いニットのカットソーを握りしめたまま
どこにしまえばいいのか途方にくれている私も
明日にはこの部屋に散乱する死体になる
お母さん、東京は
空に花、海に月、床にしかばね
わたしはもう
SEXのことをエッチと呼ばないし
お母さんになるあても
なくはないのです




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