無題/手乗川文鳥
恥ずかしい生命
僕はこれから全ての季節を殺しに行く
ようやく開いた花弁を
飛び交う鳥の嘴や羽根を
丁寧に剥ぎ時には乱暴に毟り取る
地面を這う影を燃やし
壁に貼られたポスターを破り
視界から溢れ出た文字を分解する
そうして僕は何もない場所に出ていき
もう戻ってこない
君のいる季節では
新緑は色を変えることを止めない
日差しは決して腐ることなく
ウルトラバイオレットが君を刺し続ける
荒廃しないビルディングを
君がどうやって傾けるか
僕はもう見届けるつもりはない
全てのこどもたちに手渡された
絶望の種子を
僕は略奪する
全て
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