冬と日/木立 悟
小さなものが
手のひらに眠る
わたしを信じ
手のひらに眠る
花の上に
音は置き換わる
星雲の腕
ななめ地平に
朽ちたもの
朽ちゆくものが水辺を覆う
よこなぐりの陽
縦に縦に割れる空
煙る眠り
ひとつ 眠り
明らかな日の
青と澱み
ほぐれゆくもの
しぐれゆくもの
軒先の銀は見つめつづけ
いつのまにか 見失う
雷雲は
ただ過ぎ去る
波は無く
音だけが来る
羽に映る道を影はゆく
水は曲がり
中洲になり 中洲でなくなり
降る色を浴び 音に還る
窓の光を取り去ろうとする手を
小さなものが見つめている
空は縦に縦に降る
冬は遠く遠く在る
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