私を殺す/なき
殺される夢を見た。幼い頃から、形を変えて五度くらい殺されたことがある。夢の印象は強烈だ。それに、夢を見ている間はものすごく必死なので、時間が経っても中々忘ることができない。時折、なんとなく思い出したりする。思い出の中の夢は不思議と怖くはない。
夢の中で私は、切り立った崖に置いていかれる小さな子どもだったり、スパイとして潜伏し、ヒロインを政府から守る戦うヒーローだったりした。どちらも夢が進んだ先には死が待っていたのだけれど。
一番恐ろしかったのは、とても広いJRの駅の中を鬼の顔をした人に包丁持って追い掛けられた夢だ。しかも結局包丁では刺されずに、広い駅の長い階段から突き飛ばされて、夢からブ
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