短い虚無の話/散布すべき薬物の所持2
 
1、
緑色と茶色の紙で出来た折り紙を拾った
なるほどこれは自然の色だ、生い茂る草原だ
どこにでも有り触れている色であって
この折り紙を持っている事はどうしようもなく下らない

僕は折り紙を捨てて、
ふと空を見上げた

なんだこれは、灰いろじゃないか
あるのはビルディングばかりで、全部灰いろ
緑も茶色も何も無い
これでは話は違う

僕は足下を見た
さっき捨てた折り紙を捜して

しかしどこにも折り紙はなく、
灰いろの大地が見えるだけ
灰いろのショーウィンド、
灰いろの少年、
灰いろの薬局、
灰いろのbrutal(暴)、
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