星の子 (1)/瑠王
星の子=スターベイビー}と呼ばれるもう一つの理由だった。
人々はその痣を大袈裟にありがたがったが、十四歳になった年頃の女の子にとってはコンプレックス以外のなにものでもなかった。
彼女は際立って美しい訳ではなかったが、白に近い銀髪と深いブルーの瞳、それに額の痣が手伝って、どこか神秘的な雰囲気を漂わせていた。
彼女は何処へ行っても特別扱いされた。
彼女を困らせる事をするような人は誰ひとりいなかった。
(一度だけ学校の悪戯っこが、彼女を驚かそうと登校中に捕まえた蛙を三匹、彼女の鞄に潜ませた事がある。彼はその晩、父親に頬が真っ赤になるほどひっぱたかれた。)
彼女の意見に反対するものはなく、彼女の周りではいつも物事がスムーズに進んだ。
彼女はこの自分を取り巻く空気があまり好きではなかった。
人々に親切にされることは悪い気がしなかったが、大人達の何かを期待するような視線には時々耐えがたくなった。クラスメイトも皆優しく接したが、どこかよそよそしかった。
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