月とオカリナと詩片/仁惰国堕絵師
 

  明るい光しか見えなかった

  もうとりかえしがつかない・・・
  遠くを見てるといつもそう思う

  夏の夕暮れ
  ほてった頬で
  ずんずんずんずん ずんずん歩く

Youtubeで”風”を検索してみたが該当する曲がなかった。
その代わり”本谷美加子”というオカリナ奏者の活動を少し垣間見ることの出来る動画を見つけた。
彼女は四国巡礼の旅、札所八十八カ所を巡り、それが本にもなっているらしい。

冬の夜空に浮かぶ月、オカリナの調べ、そして詩片。
昨日はこんな夜にいだかれて、眠れない私のほてった頬もいつしか冷めてゆき。
そして改めて床についたという次第。

目覚めて、夜の余韻に惹かれながら空を見上げれば。
空に昇った太陽はもはや一日の始まりを告げた後であり。
昨日の月夜も、先日の雪夜もまるで嘘のように。
冬の神経質な光の矢を地上の全方位に向けて容赦なく投げかけている最中である。

  もうとりかえしがつかない・・・
  ずんずんずんずん ずんずん歩く
戻る   Point(0)