鎖/刀
夕方
雨が降り出し 雨宿りのできる場所を 探している
今までに 見たこともないような 喫茶店
独り ドアを開けて 独り 窓際に座る
蒸した雨に さらされ
雨なのか 汗なのか ただ体が湿っている
冷房で少し 肌寒い
ネクタイをゆるめて ハタハタ と ワイシャツを乾かす
コーヒーを一杯 注文
財布を覗いて 少し 渋い顔をする
ふと 外を見れば 子供が雨乞いをしている 雨に濡れながら
今までのこと これからのこと 考える 心の中で言葉にもならず
何を考えるともなしに 想う
雨で 水脈を作った窓を 見つめながら
気付けば いつの間にかコーヒーが テーブルの上に
口をつけても コーヒーの味なんて しない
だんだん と 雲の間から 青い空がのぞく
飲み干した コーヒーカップを テーブルに置き
レジを済ませると 重たく感じるドアを押し開ける
まだ蒸された 熱風を 肌に感じ
目を 細める
ネクタイを かなぐり捨てて
君は 行く
陽炎の現実へと 夢を叶えに
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