死者の目/吉岡ペペロ
死者の目に
いちにちのうち
なんどかなってしまう
傍観している
肉をもたない霊となって
肉をもたないだけではない
傍観するいがい
なんの術もなくしてしまって
真っ暗やみで女を抱いた
人間はすこしだけ発光していた
それはかすかな希望への
幻視であったのかもしれない
墨汁のような色彩にめかくしされて
肉がすすり泣くのを煮つめていた
死者の目で見つめていた
女に致命傷をあたえる動きを
死者の目に
いちにちのうち
なんどかなってしまう
傍観している
肉をもたない霊となって
肉をもたないだけではない
傍観するいがい
なんの術もなくしてしまって
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