魔法/……とある蛙
 

痩せて行く月を眺めながら
君はにこやかな笑みを魅せ
二人っきりの時間はそんなに無いはずなのに

黒猫は二人の間を取り持つように
しっぽを足に絡み付け媚を売り
君はそれににこやかな顔で応える。

僕らの時間はとっても長かったのだが
それに比べ残された時間は驚くほど短いのだ
君はそれをおくびにも出さず、猫を抱き上げる。

君は星屑のようなため息を吐き
じっと夜空を見上げ
僕は何もできない自分を恥じるのだった。

(いったい何時になったら魔法が解けるのだ)

月に向かって吠えているつもりの
蛙一匹
戻る   Point(19)