じゃがいもの小旅行/
中原 那由多
快速で芦屋へ向かう
置いてきぼりされたものを見捨てることを
結局、メロスはしなかったのだから
楽観的に腕時計の秒針をじっと眺めて待つことにする
鞄には大したものが入ってないのに
変に重く感じるのは何故だろう
都会を勘違いしているじゃがいもは
プラットホームを駆け抜けて
苦手な乗り換えをしようとしている
西宮に行けばいい
ただそれだけを考えていると
大したものが入ってない鞄は
やっぱり軽いものだった
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