インモアイ/瓜田タカヤ
ップは床に落ち 暖かさを否定し
金属の棚は 依然尖った先端に
長細い表面に俺の贅肉を映しこみ
開けっ放しの扉は
未知の世界へと完全に通じることがない事実を肯定してた
甘い香りは、イヌの散歩のイヌの糞の袋の中の立ち上る無音
美しい白いプラスティックの箱は此処に存在しないから
昨日から棺桶にする事を決めていた
メバルが好物の水鳥
切り刻まれない場所の優しさが
瘡蓋で埋もれていることを
目配せのみで伝える情景
小さなモアイ像の中には必ず
小さな人間が入っている事を
つよくつよくほんとうに信じた
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