ミノタウロスの竪琴/高梁サトル
 
ことが出来る
片目を瞑って気長く待つ者だけが
何時か巡り会う瞬きに
彼らは魂を賭して歌を謳う
ある者は賢さを押し鎮め
溢れ出る想いに束の間の調和を
ある者は愚かさをむき出しに
囚われの想いに一途な不調和を
風の中ゆらゆらと泳ぐ幾重の尾ひれに
私は まどろみ 夢を見る

共鳴の最果てで
私はあなたの夢を見ている
ヘブルス河をくだる切り離された頭を
岸辺に取り残された半身を
美しく怖ろしい竪琴の調べを
永い 永い 光と暗黒のしじまで
私はあなたの夢を見ている

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