交錯詩「路地」奥主 榮  萌木 碧水/鵜飼千代子
 
               奇数行 萌木 碧水
               偶数行 奥主 榮

  この先を曲がりいる
   だらんとぶら下がった
  はたとしずまり
   くもの しっぽの先に
  かすかなエンジン音さえ風の声
   曲がりくねった板塀が
  ないたっていいんだよ
   あてもなく続いている
  ほら、からだをほどいて
   静電気をまとった少年が
  ゆるゆると折れる道を行き
   風に肌をさらしたまま
  道の端の小さな花も
   水槽の中で揺れるように
  朽ちかけた家々の壁も
   土埃をたてる
  清しい気で包みこむ
   街
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