そんな神様だったなら/靜ト
その神様は
ちっとも偉大じゃなく
小柄で、痩せた手足をしていて
けれども表情は生き生きとして
老人の顔をした少年のよう
優しく、時々いたずらっぽく微笑み
白い雲と暖かい日差しとそよ風とチョコレートが大好きなのだ
時々雲の合間から見える
人間の人生模様を恐る恐る覗き
あるときは感動に涙し
あるときは拍手喝采し
あるときはくすくす笑い
あるときは自分のことのように幸せな気持ちになる
時折見えるのは祈る人々だ
彼はそれに動揺し、困惑する
自分には願いを叶える力などないと
また時折見えるのは戦争だ
殺しあい憎しみあい
時には彼への信仰のためにおこる殺戮に
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