撓る雪/海里
 
雪雲の上の砂かけ婆ぁ
妖怪だからといって寒かろうに
詩々累々と雪が降ります

日々降り積もる詩の数々は
先々どんな化石になるのでしょう
ラーゲルシュテッテン・インターネット

シエラザード
アルフ・ライラ・ワ・ライラの歌姫
自分のための子守唄を持っていますか

天球儀の内側に
そっと隠されていたスノードーム
誰かの手がとりあげるたび
舞い上がっては降りしきる何か

遍く
見えない耳せんのように
どこか空の空き地から
零れ落ちてくる真水の真珠

沈黙の神
ハルポクラテスの御技であるのか
仕業であるのか

尽きることなく
四方への眼差しを遮るように
舞い続けるイシュタルの薔薇の花びら
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