振り返るひと/恋月 ぴの
そんなことばを画面に向かって吐き捨てた
人生はマラソンみたいなものって言われるけど
長いようで短かった人生で諦めと引き換えに得たもの
それは明日への仄かな希望というか
未だ扉は閉ざされきってはいないのだという不確かな手触り
それでもあなたは優しいから
抱きしめられれば厚い胸板からは吸いさしの臭いがして
俺も疲れてきたのかな?
問いかけられたことばの背後に見えるもの
たぶんねと苦笑交じりに答える連れ合いの姿であり
ささやかな殺意を秘めながら生きているひとりの女の姿でもある
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